
前歯の裏から永久歯がのぞいたら、最初に確かめたいこと
乳歯が抜けたあと、新しい前歯が内側からのぞいている。学校の歯科健診の用紙にも「歯並び」の文字があり、すぐに動いたほうがよいのかと焦る保護者の方は少なくありません。6〜8歳の混合歯列期は、歯の位置が月単位で変わる時期です。見た目だけでは、治療が必要かどうかは決まりません。この記事では、経過を見守る場合と受診して確かめたいサイン、子ども向けマウスピース型装置の対象や装着時間の考え方、相談時に用意したい質問を順に整理します。判断の軸になるのは年齢よりも、歯の生え替わりと噛み合わせの状態です。
この記事の要点まとめ
- 7歳ごろの歯並びは生え替わりや噛み合わせで状態が異なり、永久歯が内側から見えても治療が必要とは限りません。
- 反対咬合や食べにくさ、顎のずれがある場合は受診し、装置の種類や装着時間は診察結果に応じて確認します。
- 経過観察では写真や健診票を残し、相談時に通院間隔、費用の総額、学校での装着方法を尋ねましょう。
目次
- 7歳の歯並びは様子見でいい?生え替わりと受診の目安
- 6歳・8歳でも使える?子どものマウスピース矯正の条件
- 学校生活で続けられる?装着時間とお口の手入れ
- 川崎市で相談する前に整理したい通院・費用・質問
- よくある質問
7歳の歯並びは様子見でいい?生え替わりと受診の目安

永久歯が内側に見えても、すぐ矯正とは限らない
6〜8歳ごろは、乳歯と永久歯が混ざる混合歯列期にあたります。下の前歯が乳歯の裏側から顔を出す姿は、この時期によく見られるものです1。乳歯が抜けたあと、舌の動きや顎の成長に合わせて、少しずつ前へ移っていくこともあります。
その一方で、乳歯がなかなか抜けない、永久歯の入るすき間が明らかに足りないといった場合は、レントゲンで歯の根や控えている永久歯の位置を確かめる意味があります2。内側から生えたという事実だけでは、治療が必要かどうかは決まりません。
噛み合わせのずれや食べにくさは受診して確認
次のような様子があれば、生え替わりの途中でも一度診察を受けて状態を確かめておきましょう。
- 前歯が上下逆に噛んでいる(反対咬合)
- 奥歯が片側だけ内外逆に噛む、口を閉じると顎が横へずれる
- 前歯で食べ物を噛み切りにくい、いつも同じ側で噛んでいる
混合歯列期の片側の交叉咬合や反対咬合では、早めの介入で短期的に噛み合わせの改善がみられたとする報告があります34。ただ、長期的な見通しについては研究でもはっきりした結論が出ていません4。始める時期や治療の要否は、お子様ごとの骨格や癖を診たうえで判断されます5。
様子を見るなら、何を記録して次回伝える?
経過観察を選んだ場合、変化を残しておくと次の診察で話が早く進みます。手軽なのは、月に1回ほど正面と下の前歯の内側をスマートフォンで撮り、歯が抜けた日付をメモしておく方法です。食べにくそうにしていた物、口がぽかんと開いている時間、指しゃぶりや爪かみなどの癖も書き添えておきましょう。
学校健診で受け取った用紙は捨てずに保管し、受診時に持参してください2。再確認の間隔は歯の状態によって違います。「3か月後」「半年後」など具体的な時期を歯科医院で決めておくと、家庭でも予定に組み込みやすくなります1。
6歳・8歳でも使える?子どものマウスピース矯正の条件

同じ年齢でも歯の生え替わりと顎の状態で方針が変わる
同じ7歳でも、上の前歯が4本とも永久歯に替わっている子もいれば、まだ乳歯が多く残っている子もいます。顎の大きさや上下のバランス、鼻で呼吸できているかどうかも、一人ひとり違います2。
このため、「何歳になったら始める」という一律の線引きはありません。矯正歯科の分野でも、開始時期は症状ごとに検討する考え方が基本です5。早く始めるほど有利とも、待てば自然に整うとも言い切れないところに、この時期の判断の難しさがあります。適応年齢という数字より、今のお口の状態を診てもらうことが出発点になります。
マウスピース型装置とワイヤー装置は目的で選ぶ
子ども向けのマウスピース型装置には、大きく分けて2つの考え方があります。1つは、舌の位置や唇・頬の筋肉の使い方に働きかけ、口まわりの機能を整えることを目指す既製のタイプ。もう1つは、歯型のデータから歯の動きを計画し、段階的に交換していくオーダーメイドのタイプです。固定式の装置やワイヤーを使う方法には、歯にかける力を細かく調整しやすいという特徴があります5。
舌で前歯を押す癖や舌圧の弱さが歯並びに関わっている場合もあるため、診察では歯だけでなく口の使い方も確かめます2。どの装置が合うかは、歯並びの原因とお子様が毎日続けられるかの両面から考えていきます。
治療を決める前に調べる歯並びと噛み合わせ
装置を選ぶ前には、口腔内の診察、写真や歯型による記録、必要に応じたレントゲン撮影を行うのが一般的です2。セファロレントゲン(頭部X線規格写真)では上下の顎の位置関係や前歯の傾きを、iTeroなどの口腔内スキャナーでは歯並びを立体的なデータとして記録できます。スキャナーは粘土状の型取り材を使わないため、えずきやすいお子様にとって負担を抑えやすい方法です。
検査結果の説明を受けるときは、「この結果から、なぜこの装置を選ぶのか」と尋ねてみてください。方針の理由が見えると、家庭で続ける際の納得感も変わってきます5。
学校生活で続けられる?装着時間とお口の手入れ
寝るときだけでよいかは装置の指示によって違う
「子どものマウスピースは寝るときだけ」と耳にすることがありますが、実際の指示は装置によって大きく変わります。口まわりの機能に働きかけるタイプでは就寝中と日中の1〜2時間程度、歯を計画的に動かすタイプでは食事と歯みがき以外のほぼ一日、と案内されることもあります5。
学校でも着ける必要があるのか、給食の前後に外してどこへしまうのか。日中の過ごし方まで具体的に診察時に確かめておくと、始めてから慌てずに済みます。家庭で装着時間を記録する方法も、あわせて相談できます。
話しにくさや違和感が出たときの伝え方
着け始めの数日は、サ行やタ行が言いにくい、歯が締めつけられるといった違和感が出ることがあります。多くは慣れとともに落ち着いていきますが、感じ方には個人差があります。
「友達に見られたくない」「授業で発表しにくい」といった気持ちは、お子様自身の言葉で聞いてみてください。痛みが続く、装置が当たって口の中に傷ができる、学校生活に差し支えるといった場合は、無理に続けず歯科医院へ相談しましょう2。本人の困りごとを共有すると、装着する時間帯や進め方を見直す材料になります。
むし歯を防ぐ清掃と、紛失・破損への備え
装置を着けたまま甘い飲み物を口にすると、歯と装置の間に糖分がとどまり、むし歯ができやすい環境になります1。装着前の歯みがきと、装置の水洗い・専用ケースでの保管を毎日の流れに組み込みましょう。熱いお湯は変形のもとになるため使いません。
給食のときにティッシュに包んで、うっかり捨ててしまうことも起こりがちです。ケースを持ち歩く約束を親子で決めておくと安心です。紛失や破損、歯ぐきの腫れに気づいたときの連絡方法も、治療前に聞いておきましょう2。
川崎市で相談する前に整理したい通院・費用・質問
高津から通うなら、通院の間隔と治療期間を確認
通院の間隔は、装置の種類や治療の段階によって1〜3か月に1回程度と幅があります5。混合歯列期に行う第1期治療は1〜2年前後がひとつの目安ですが、永久歯がそろってから第2期治療を検討する場合もあり、期間の見通しはお子様によって変わります。
川崎市高津区から溝の口駅周辺へ通うことを考えているなら、学校や習い事、きょうだいの送迎と重ならない時間帯や、土曜日の予約の取りやすさまで確かめておきましょう。続けられる通院ペースかどうかは、装置選びと同じくらい治療の進み方を左右します。
小児矯正の費用は総額と追加費用まで聞く
子どもの矯正治療は、原則として公的医療保険が適用されない自由診療です。保険が使えるのは、厚生労働大臣が定める先天的な疾患に伴う噛み合わせの異常など、ごく限られたケースにとどまります6。第1期治療の費用は装置や治療期間によって異なりますが、一般的な相場としては、治療費の総額が20万〜60万円程度、これとは別に精密検査・診断料が1万〜5万円程度、通院ごとの調整料が1回3,000〜5,000円程度とされることが多いようです。治療期間は1〜2年前後、通院は1〜3か月に1回程度が目安で、通院回数は期間と間隔によって変わります。記載した金額は一般的な相場であり当院の費用ではありません。実際の費用は医療機関により異なり、当院の費用は診察のうえでご案内します。
装置の再製作、毎回の調整料、治療後の保定装置が総額に含まれるかも確認しておきたい点です。医療費控除は、噛み合わせの改善など治療を目的とする場合に対象となることがあるため、詳細は税務署などで確認してください。
小児矯正では、次のような副作用やリスクが起こる可能性があります。
- 装着初期や装置交換・調整後の歯の痛み、締めつけ感
- 発音のしにくさ(サ行・タ行など)や装置の違和感
- 装置が当たることによる口の中の傷・口内炎
- 清掃が不十分な場合のむし歯や歯ぐきの炎症(歯肉炎)
- 歯の根が短くなる歯根吸収
- 治療後に歯並びが戻ろうとする後戻り
- 装着時間が足りない場合、計画どおりに歯が動かず治療期間が延びること
よつば歯科・矯正歯科 溝の口院で聞きたいこと
相談の前に、次の質問をメモしておくと診察の時間を有効に使えます。
- 今は経過観察でよい段階か、どのくらいの間隔で再確認するか
- マウスピース型装置の対象になる歯並びか
- 学校で装着する時間は必要か
- ほかの装置を選ぶとしたら、その理由は何か
- 通院回数と費用の総額の見通し
診察では、お口の中で何が起きているのかについて説明を受け、不安や疑問を整理してから検討することが大切です。健診の用紙と、家庭で撮った写真やメモを持って相談してみてください。その場で治療を決める必要はなく、説明を持ち帰ってご家族で検討してから判断して構いません。
よくある質問
Q1. 小児歯科は何歳まで受診できますか?
A. 法律などで年齢の上限が決まっているわけではありません。一般には、乳歯から永久歯への生え替わりが終わる中学生ごろまでを目安にしている歯科医院が多く、その後も同じ医院で継続して診てもらえる場合があります2。
Q2. 子どものマウスピース矯正は寝るときだけ着ければよいのですか?
A. 装置によって異なります。就寝中と日中の短い時間で済むタイプもあれば、食事と歯みがき以外はほぼ一日着けるタイプもあります。お子様の診断と装置の種類に応じた指示を確認してください5。
Q3. 小児矯正の費用はいくらくらいですか?
A. 混合歯列期の第1期治療は、装置や治療期間によって費用に幅があり、一般的な相場は総額20万〜60万円程度、別途精密検査・診断料が1万〜5万円程度とされることが多いようです。この相場は当院の費用ではなく、実際の費用は医療機関により異なります。当院の費用は診察のうえでご案内します。検査料や調整料、再製作費が含まれるかも確認しましょう。
Q4. 娘が装置を嫌がったり、外したままにしたりしないか心配です。
A. 始める前に、お子様本人に装置を見てもらい、話しにくさや見た目について気になることを聞いておくと、受け止め方を確かめやすくなります。装着時間を家庭で記録し、続けにくい理由が出てきたら早めに歯科医院へ伝えると、進め方を一緒に見直せます。
Q5. 小児矯正は医療費控除の対象になりますか?
A. 噛み合わせの改善など、治療を目的とする矯正であれば対象となる場合があります。見た目を整えることだけが目的と判断されると対象外となることもあるため、領収書を保管し、詳しい条件は税務署などで確認してください。
参考文献
1. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(口腔・歯の健康)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/teeth
2. 日本小児歯科学会 https://www.jspd.gr.jp/
3. Alsawaf DH, Almaasarani SG, Hajeer MY et al. The effectiveness of the early orthodontic correction of functional unilateral posterior crossbite in the mixed dentition period: a systematic review and meta-analysis. Progress in orthodontics. 2022. PMID: 35156156 / DOI: 10.1186/s40510-022-00398-4
4. Woon SC, Thiruvenkatachari B. Early orthodontic treatment for Class III malocclusion: A systematic review and meta-analysis. American journal of orthodontics and dentofacial orthopedics. 2017. PMID: 28024779 / DOI: 10.1016/j.ajodo.2016.07.017
5. 日本矯正歯科学会 https://www.jos-jpn.org/
6. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(疾病・健康に関する情報)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/
国立東京医科歯科大学歯学部 卒業
国立東京医科歯科大学大学院 入学
国立感染症研究所協力研究員
足立区歯科医師会指導医
国立東京医科歯科大学大学院 卒業(博士号取得)
公益財団法人日産厚生会玉川病院 勤務(歯科医長)
川崎市溝の口にて「よつば歯科・矯正歯科溝の口院」 開業
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